のしてんてん「瞑想の絵画展」の歩み

1999年から始まりましたのしてんてん瞑想の絵画展

2008年、いよいよ10回目を迎えることになりました。
全興寺住職のご厚意で、全興寺境内での個展を許可
して頂ました。
その条件は10年間、絵に対する研鑽を修行と心得,、
堕落したとみなされれば即中止というものでした。
今回
無事同絵画展を満願できることとなったため、ここにその
経過を簡単にまとめてみました。


第1回目瞑想の絵画展(1999年)

左はデザインオフィス グーフィー(石井さん)の手による案内状、ポスター形式のものです。

お寺の境内で初めて行う個展で新鮮さと緊張で身が引き締まりました。
この年は5月2日〜4日の3日間で、イベントやトークも交えた「のしてんてん」の世界を展示しました。以後は3日〜4日の二日間の実施となりました。

展覧会最終日にご住職から、修行のつもりで10年間やって見ないかと言われ、研鑽させていただくことになりました。 住職の目で堕落したと判断されたらその時点で終わりというもの。 石井さんが立会い人ということで、10年越しの瞑想の絵画展が始まったのです。

まだパソコンもデジカメも持ち合わせていなかった時代で、作品写真はプリントしかありません。

展覧会のことを知らない檀家のおばあさんがこられ、
私の絵の前で手をあわしてくださったのが忘れられません

第1回個展を
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第2回目瞑想の絵画展(2000年)

左の案内状は第1回目から引き続きグーフィーのデザインで、作成。
以後毎回ご協力願いました。
案内状に使用する作品写真は、前年の展示作品の中から選び、今回の展示作品との比較が出来るように配慮しました。

第一回目の展示で試みた、作品の前で座るという形をさらに追求し、
第2回目は畳の上に部屋一杯の作品を並べて展示しました。

歴史あるお寺の庫裏に、異質な私の作品を持ち込むことで、新しい空間を生みだし、部屋と絵が互いに生かしあえるうような展示を試みました。

絵の前に座り、鑑賞者が部屋の中に宇宙を感じとることが出来るように工夫を凝らしたことで、住職より第3回目開催の了承を頂きました。

第2回個展を
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第3回目瞑想の絵画展(2001年)

第3回個展を
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第3回展示では、球体を描くことで宇宙のつながりを体感する空間を意識しました。
しかし、球体の作品は新しいものが見えるものの、他の作品は前回の作品のイメージを引きずっており、全体として低調な仕上がりとなったというのが、住職の評価でした。

同展の試みを続けるかどうかは、来年の展示を見て決めるということで、1年の猶予を頂きかろうじて継続の許可を頂くという不本意な結果でした。

作者としての心の弱さを露呈した展示となりましたが、住職の指導で作品を戸外に出すことを進められ、これが大きな収穫となりました。

室内の閉鎖的な空間と対照的な、開放された明るい空間での展示は、私の、作品と空間に対するイメージを一新させてくれたのです。

第4回展は前回の反省をもとに、新たな発想を求め、闇の中に浮き上がる群像をテーマにした作品を制作しました。

その作品は全興寺本堂の仏殿に展示することが許され、伝統ある祭壇の両翼に作品を置くことが出来ました。重厚な仏殿の間にうまく作品を調和させることで、作者としての内面をより深められたと思います。

また空間を描く新たな作品に挑戦して、住職より評価を頂きました。

前回に引き続き、戸外でも作品展示を行い、本堂の深い空間と、戸外の開放的な空間の対比の中で作品が空間を呼吸しているしていることに気付きました。

住職の薫陶が私の作品に深さを与えてくれている。そのことにただ感謝するばかりの展示となりました。

第4回目瞑想の絵画展(2002年)

第4回個展を
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第5回目瞑想の絵画展(2003年)

第5回展より全興寺境内の庭に作品を展示する野外展となりました。
作品は煙のような物質で出来た立方体や球体を描いたもので、空間と物質の狭間を感じさせる絵を目指しました。

「中庭の作品は新緑と風、そして光によって表情を変え、まるで感情を持った生き物のように見え、庭の石と一体化して根でも張ったかのように力強く構えている」というメディアの評も頂きました。

さらに前回本堂仏殿での展示に対応して、今回は本堂の外壁を使用させて頂きました。この壁面を空間絵画で埋め尽くす試みを行い、キャンバスをどこまでもつないでいく、増殖する絵画の形が生まれました。


第5回個展を
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第6回目瞑想の絵画展(2004年)

第6回全興寺個展は2回目となる野外展となりました。
今回は作品をただ野外に置くということから、さらに発展させ、
作品に足をつけて杜の中に立たせるという方法をとりました。

ほぼ人物大の作品に仕上げ、散歩しながら作品と対話するという展示を心がけました。

同展は二日目に雨と強風という自然の洗礼を受けました。雨は作品にビニール袋をかぶせてしのぎましたが、強風で作品が倒れるハプニングがあちこちで起こり、雨の中を走り回りました。
夜中に嵐のような強風があり、翌朝お寺に駆けつけると、お寺の周辺の看板や植木鉢が飛んだり倒れたりしていたのに、境内の作品は一点も倒れず朝を迎えてくれていました。

仏様が守ってくれたのかと心から手を合わせるひと時が幸せでした。

初日は素晴らしい天気に恵まれたこともあり、よきもあしきも自然とのつながりを強く体感する個展となりました。

第6回個展を
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第7回目瞑想の絵画展(2005年)

第7回個展を
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第7回展は昨年の野外展を改良した形で実施しました。

全興寺の中庭にある花や木を画面に取り込んだ作品を作り、絵を庭の風景に溶け込ませる試みを行いました。
この試みは、前年の雰囲気から一転して落ち着いた野外との一体感を実現しましたが、絵に対する考えに安易なものが目立ち、自分の力の中で安住している心の弱さを考えさせられる展示となってしまいました。

その点を指摘され、質は高まったものの、ご住職の目には満足できるもののない足踏み状態の展示と厳しい言葉を頂きました。

在るものを描くのではなく、無いものを描き出す。これが真の創作であるということを教えられ、その意味でも貴重な教訓となりました。

一方で、低調な作品に対して、野外の環境は5月の新緑と光を受ける素晴らしい天気に恵まれました。

第8回目瞑想の絵画展(2006年)

第8回個展を
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第8回展示は、箱のテーマから新たに生まれたハコムシを5月のお庭で遊ばせるというイメージから、庭のいたるところにハコムシを描いたサムホールの作品100枚を配しました。

前年の反省から、作品に足をつける形は避け、草むらや石の上にさりげなく作品を配し、遊びの心を前面に押し出しました。

草むらからそっと覗く作品や、岩の上で威張っている作品、そして今回初めて展示を許された水琴窟(仏の国)の中での作品と、どれもその場所での空気を受け止めていて、気負わなければ作品が自分で居場所を見つけるものだという経験をさせていただきました。気持ちのいい野外展となりました。

気になるご住職の評はおおむねよいものでしたが、まだ庭を使いきっていないという厳しい指摘がなされ、それが翌年への大きな課題となる薫陶を受けました。

形を追求するのではなく心を描く。私の思いでもある言葉を、仏の側から切り裂いて示していただけることに有難さを感じる個展となりました。

第9回目瞑想の絵画展(2007年)

第9回個展を
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第9回目は自分の絵に対するこだわりを捨てて、単純に庭と楽しむということだけで展示を行いました。

しかしその方法が見つからず秋が来てもまったく準備が出来ていない状態でした。
ただ不思議なことに焦りはなく、自分の中にあるものは自分の中に任せるというような感覚があって、安心していられました。

ある日、洗濯物を見て発想を得、そこから一気に作品が出来ました。
キャンバス地に直接描く形で、160枚の作品を一週間ほどで、仕上げ、当日の展示に間に合ったのです。

今回の絵には、これまでの私の形はなくなり無を許すことが出来たのではないかと思います。
自分を無にすることで初めて、杜に受け入れてもらえる。何かそのような実感が得られる展示となりました。

ご住職からも、野外はこれでいいだろうということばを頂ました。
最終となる次回は、再び室内に戻って、最初にイメージした瞑想の絵画展をもう一度やってみてはという進言と共に、室内と庭の使用を認めて頂きました。

第10回目瞑想の絵画展(2008年)

最後の瞑想の絵画展となります第10回展の案内状は、これまでの中で一番印象に残った第4回目のデザインでお願いしました。
第4回目絵画展は、全興寺本堂での展示を許された個展であり、私の絵が野外に飛び出す足がかりになったこともあり、10年にわたる瞑想の絵画展の中心とも言うべき展示でした。

最終回になりますこの個展ではただあるがままの自分を表現できたらと思っております

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展示場所は本堂と中庭、そして新たに全興寺が地域のために改築したおも路地2Fの多目的室をお借りしました。

室内展示はご住職から面白いという評を頂き、10年を無事遣り通せた実感をかみ締めました。

この経験をもとに、のしてんてん絵画をどこまで発展させることが出来のるか、心新たな出発を思っております。

十年間、瞑想の絵画展を見守っていただきありがとうございました。ここに御礼申し上げます。

第10回個展を
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